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『思考の謎に迫る作品を制作』|ミカエル・ホプフェル インタビュー

「作り手の思考」に迫る《1000 Thoughts》。今回は、ドイツのアーティスト、ミカエル・ホプフェルの登場です。彼は、《sleep:睡眠》や《thought:思考》、あるいは《dust:ほこり》といった、誰もが知っていながら、実はよく解明されていないことをテーマに作品を制作する。とりわけ、わたしたちが興味を持ったのは、このブログのテーマにもなっている《thought:思考》という作品である。リアルタイムAVプログラミング環境《vvvv》の開発を行っていることでも知られるmesoというアーティストのユニットにも参加しながら、個人的にも作品を発表し続けている彼にインタビューを行った。

なぜ、あなたは、《sleep:睡眠》や《thought:思考》、あるいは《dust:ゴミ》といった、誰もが知っていながら、実はよく解明されていないことをテーマに作品をつくるのですか?

私の仕事は、私たちが生活をするこの世界をどのように認識するのかについての調査のようなものです。例えば私の作品である《sleep:睡眠》や《thought:思考》、あるいは《dust:ほこり》は、誰にでも日々体験し、直面していることです。ですが、私たちはそれらについて考えることは、あまりありません。私たちがそれらを操作し、避けようとしても、それらは人生の最後までつきまといます。そして、もし私たちが、それらを把握しようとしたり、理解しようとすると、それらは、大きなミステリーに包まれていることがわかるでしょう。それらは、私たちの意識下の盲点なのです、つまり、私たちが重要であると常に理解する事象の隙間にあるのです。私にとって、《sleep:睡眠》や《thought:思考》、あるいは《dust:ほこり》は、私たちが存在する理由の秘密が隠されていると思うんです。だから、私が調査するのに適したフィールドだと考えています。
私は、これらのトピックスについて、パートナーであるジェニー・ミケルとともに、インスタレーションや、科学的なアイディアを反映させたヴィデオ、あるいはその手法、それらを表現する美学についても取り組んでいきました。

《Thought》という作品について教えてください。

私たちは、「思考」を把握することができます。ですが、実際には、その意味だけであり、その性質についてはわかりません。「考える行動」について考えることは、まったく不可能であるように思えます: 私たちが何かはっきり理解できると信じる事象に焦点を当てる時はいつだって、私たちの観測の結果としては、それらは姿を消してしまうか…(略)。
※2013年2月発売の新メディアに掲載されます。

シュレーディンガーの猫/Wikipedia

私たちの実験においては、それぞれにフィードバックを生成する、内部を映し出すフラットスクリーンモニターと、カメラを設置した密封箱を使用しました。そこで分かったのは、持続する映像の反復が物体の形状を強化するけれども、全体としての意味をなくしてしまうことでした。だから、私たちは、来場者の思考をその中に吸い込ませ、骨格のみにしようとしました。つまり思考の内容を除去し、骨格のみを残そうとしたのです。実験の結果は、密封された箱の底から出る水滴となり、来場者が検査することのできるクリアな液体となります。どんなものでも、内部にしたたる水滴となり、どうやっても、それらは、不確実性を残した調査可能性を秘めたものになります。しかし、それらは全体として新しく、異なる意味のための空間として機能します。

(この《Though》という作品は、3つの展示から成り立っている。それは《Thought Absorber》、《Thought Carriers》、そして、《Exposures》である。《Thought Absorber》は、部屋の天井の下部から24本のボトルが配されている。これらのボトルは、電流を生じるボトルとなっている。これらのボトルには透明のチューブが接続されており、密封された箱の中に、とてもゆっくりとしたスピードで流れ込む。液体の入ったチューブはその箱の中を通り、箱の下部に取り付けられた24本の針から出て行くようになっている。そこからゆっくりと、10分毎に水滴が出てくる。しかし、鑑賞者は常に水滴がしたたるのを目撃できる。水滴は電子顕微鏡のスライドに集まるように落ちてくる。《Though Absorber》の隣に設置された展示では、そのスライドを観客が確認できるようになっている。そしてさらに、その水滴構造のフォトグラムが展示されている。)

あなたが作品を作る時の主要なテーマは何ですか?

私が仕事をする一つの理由は、この質問に対する答えを見つけることです。私の作品を見てもらえばわかりますが、実に様々です。異なる試みがあり、異なるメディアがあります。合理的に、いままで私がなにをしてきているのかを理解する必要はないのです。時々、何年か経った後で、物事がどうやって相互に関連しているのかをはっきりと理解することができるんです。「表現」が一つのテーマであり、もう一つは、「認識」と「信じること」の関係性です。そして、ひとつの「原型」の替わりに、複数の整列や、システム、語彙、言語を創ることに魅了されています。コンピュータの最大の利点は、私たちが新しい眼でリアリティを見る機会となる、異なる法則や、作法でその世界に入っていけることです。

あなたが興味を寄せるアーティスト、哲学者は誰ですか?

私が好きなアーティストは、例えば、ヨーゼフ・ボイス、マット・ムリカン、杉本博司、ジョン・ケスラー、アトラス・グループなどなど…。だけれども、一人だけと訊かれたら、私の理想的なクリエイティブ・パーソンは、バックミンスター・フラーですね。だけれども、多くの人が、彼をアーティストとは呼ばない。彼は自分の人生を実験だと理解していました。実験とは、一人の人間が、どれくらい世界を変えられるのか? ということです。フラーはリサーチャーとして、デザイナーとして、エンジニアとして、建築家として、科学者として、そして作家として仕事をしてきたんです。彼は、とても基本的な幾何学を使うことからスタートして、熱心な研究を重ね、すぐに四面体と他の非直角の構造を基礎とするシステムを発明しました。そして彼は、ビルディングや車をデザインしたり、エネルギーとエコロジーに関連した性質の開発をしたり、世界地図の新しい投影法を発明したり、宇宙船地球号のような架空の事柄について研究したりしました。本当に彼を崇拝しています! 私にとって、彼は本当のアーティストです:既知のシステムを残しながら、自分のものを作り出し、青写真に留まらず、実際の作品として発表していったからです。

どのような時に作品をつくりはじめますか?

私の作品とって、コンセプトはとても重要です。だから、一番最初の着想を得る瞬間から、作品の制作ははじまっています。そこから、ケースによってですが、大抵、何年もかかることがあります。実現させる段階にあたっては、作品のアイディアは、私が前を向いてきちんと描けるくらい、強いものでなければいけません。私にとって、それをはじめる最良の方法は、私が入る空間に快適さを感じていて、作品を制作するにあたり通過する方法が、とても楽しいものであることが必要です。そして再度、私が自分の作品において迷ったり、他の物事に興味がなくなるまで時間がかかります。もしかしたら、その過程で、別の作品の制作がはじまるかも知れません…。私は夜仕事をするのが好きです。静けさが好きです:ノイズがなく、電話もなく、ぴかぴかするライトもない静けさ。だから、夏は私にとって悲劇です。なぜなら、夜がとても短いから。

あなたにとって、アート、およびものをつくるということは何ですか?

長期に渡る創作が、私が人生でできる最も美しいことです(まだ子供はいませんが)。立ち上げることと、それ以前は存在していなかった作品に「出会う」ことが素晴らしい。私が思う創作活動とは、あなたとあなたの作品の間にあるもの、それらを相互に見ること、すなわちフィードバックだと思うのです。あなたが、自身を失い、理想的には、考えることさえもしない意識の特定のレベルにおける話です。コンピュータを使っての創作は、特に、最初にテクニカルな問題を扱うかどうかによって違います。そうなると、あたなが何か自分のアイディアに合うものを見つけるまでは、一種の遊びに近くなります。時にそれは時間を失うだけで終わるでしょう。私は、コンピュータをツールとして見ています。そう、絵を描くブラシのようなものです。でも、それは特別なブラシで、それ自体、とても強い性質を持っています…(略)。
2013年2月発売の新メディアに掲載されます。

あなたが作品を見て欲しいと思う想定する観客はどんな人ですか?

いいえ、特別、「この人」というターゲットはありません。私は、自分の作品について生まれる人のリアクションや考えを…(略)。
※2013年2月にリリースされる新メディアに掲載されます。

www.hoepfel.net
www.phantomteilchen.de



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