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『”グリッチ”を利用する』| kick.snare.kick.snare インタビュー

kick.snare.kick.snare〈キック・スネア・キック・スネア〉。名前から、サウンドを連想させる人物は、PC上で発生させたグリッチを、アクチュアルな絵というフォーマットにのせて、立体感のある平面作品を作り続けている。彼の作るアートワークは、2009年に発売されたグリッチの作品集『Glitch: Designing imperfection』に掲載され、また、1998年には、自身のサウンドワークが、ベルリンのレーベル〈Lux Nigra〉からリリースされている。※すべてのインタビューは、iPadアプリ「salonmag4」に収録されています。

以前は、コンピュータ上で完結する作品を制作していたようですが、当時は、どのようなことをやっていましたか?

ローファイなノイズのカットアップというか始めは音楽(?)をやっていました。
次に映像もやり始めました。友人と一緒に音と映像のバンドをやっていたこともありました。
おそらくその当時nato.0+55+3dやmax/mspにはまっていた人たちとそんなに変わらないと思います。
最初はビカビカとフリッカーさせたり単なるビデオミキサーの様な物から始まってだんだんやっているうちに壊れ始めて「Fa└s∈M∈aТ」という絵が好物なグラニュラー・ビデオ・シンセサイザーやhtmlイメージタグを書き換えるエフェクターや再生される度にJPEG圧縮され劣化し続けるプレイヤーとか「┬.v.0.⊿.」というQuickTimeを攻撃するプレイヤーなどアプリの習作をいろいろ手探りで作っていました。
誰に見せるわけでもなく何がやれるのか試して学んでいる感じでした。

コンピュータ上で完結していた以前の制作から、現在のようなスタイルになった経緯を教えてください。

3年くらい┬.v.0.⊿.の製作を中心にコンピュータに没頭していました。
以前からQuickTimeが大量に撒き散らす色とりどりのオーバーフローノイズを画面上にべっとり塗りつけられた絵具のように捉えていました。
そのこともあってプログラミングしながら現れる画面上の絵を見た時に実際の物質に変換されたべっとりした表面の細かく切り刻まれた絵のイメージを頭に浮かべることがよくありました。(僕がバイナリデータに抱く質感は何故か少しグロテスクでべたべたしています。今になって思うのですが、愚かなことにコンピュータに没頭しすぎていた僕は長い間そのイメージがそんなに重要なアイデアだとは思っていませんでした。)
しばらく経ったある日、ふと自分の作ったバイナリデータ製の絵を物として実際に触ってみたいという軽い気持ちからそれを作ってみたくなりました…(略)。
※すべてのインタビューは、iPadアプリ「salonmag4」に収録されています。

とにかくこれが何なのか確かめたくて、もうプログラミングなんかそっちのけで印刷、塗る、切るを繰り返し続けてみました。そして39点の不細工な物体から成る「99c_1o9m」という作品が完成してはっきりしたのは、僕がぶつかったものは間違いなくグリッチで、さらにそれは僕が新たに向き合うべきグリッチだという事でした。
それ以降コンピュータ画面から一旦イメージを剥ぎ取る事が製作の中心になって行き現在に至ります。

nato.0+55+3d modularについて解説してください。

2000-2003年、Cycling74社maxに=cw4t7したm9ndfukcなオーサリング環境です。
一般的なリアルタイムのビデオ編集、フィルタリングなどに加えナスダックの株価指数でビデオをコントロールしたりウェブをサウンドに変換したり、googleの検索結果をピクセルに変換したりとGUIのナンバーボックスで現実世界を捻じ曲げているような特殊な感覚がそこにはありました。
尖んがった唯一無比の作品兼ツールだったと思います。

2009年に出版されたグリッチの作品集『Glitch: Designing Imperfection』では、トップに作品が掲載されていますね。グリッチとは何か、と、現在のグリッチの現状について、教えてください。

グリッチはこちらの意表を突き、突き破って、噛み付き、ぶん殴って、混乱させ、お構いなくおやつのゼリー(ソーダ味)を食べながら何かキーキーわめいて無責任に去っていきます。あっという間です。
こちらが何日もかけて描いた絵でさえ何のためらいもなく一瞬で破り捨てて噛み散らかしていくような酷いやつです。
たまにこっそりとびきりなユーモアをこちらに教えてくれるなかなか良いやつです。
グリッチの現状についてはよく分かりません。
雑誌で偶然見かけたのですが二艘木洋行さんの絵はグリッチだと思います。
現役かどうか不明ですがTODTはグリッチだと思います。

『Glitch: designing imperfection』書評(針谷周作)

オリジナリティは、どのように獲得できると思いますか?

ひたすら他者のものとは似てないものを作る。
ひらめきと偶発の特別なグリッチをふんだんに使って。

アイデアを形にするために、どのようなことをやっていますか? 何か日常で気をつけていることなどあれば教えてください。

特に決め事はありません。
あまり知り過ぎないようにしているという事でしょうか。
情報が不十分で完全に把握できていない時に想像で補うのが好きです。
それでわざとそのまま情報が欠落した自分の物にできていない状態でほったらかす事があります。
聴きたくても入手できないテクノのレコードなどを雑誌のレビューや写真から強引にこんな感じかなと変てこで捻じ曲がった音を想像して実際作ってみるとか。使い方の分からない道具だけで作るとか…。※すべてのインタビューは、iPadアプリ「salonmag4」に収録されています。

アートをどのように捉えていますか?

窮屈な考えに持って行かれまいとする僕にできるささやかな抵抗です。

未来について。今後のクリエイションはどうなっていくと思いますか?

ますます想像すら必要としないテンプレート的なクリエイションが増えていくのではないでしょうか。
どんな希薄な状況であれ、得体の知れないわくわくするものを創り出しどんどん壊していきたいです。

前の質問の回答にありますが、なぜ得体の知れないものを作り出したいと思うのでしょうか?

現代への抵抗姿勢というのももちろんあります。
最終的に僕の作ったものがどこか現状を壊す現代社会の中でのグリッチとして機能すれば完璧だと思っています。
前述の、アートに関する質問でお答えしましたように僕はまず自分に対して抵抗しているという思いの方が強いです。作って行く事で自然と学習してしまい無意識にやり方を決め込んでいる自分に常に挑戦し、グリッチを利用して自分の次なる限界を超えていきたいという思いです。


自分にとって出来上がって本当に自分が作ったのかと疑うような自分自身をわくわくさせてくれる作品”得体の知れないもの”が新たなグリッチです。そのグリッチを使ってまた新たな挑戦をします。
※すべてのインタビューは、iPadアプリ「salonmag4」に収録されています。

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[...] 今回は、「イラストレーションとグリッチと音楽〜イメージの源泉〜」と題して、イラストブック『Per.mur.』でもおなじみのイラストレーター・大村タイシと、グリッチを利用した作品を発表し続けるkick.snare.kick.snare、unsorted books主宰で、Computer Soupなどで音楽も行う針谷周作の3人による「視聴覚ライブセッション」と、「イメージの源泉」をテーマにトークをお届けします。 ぜひとも、ご覧ください。 大村タイシインタビュー kick.snare.kick.snare.インタビュー [...]